【GPC測定】正しい分子量を測定するための適正なサンプル濃度

GPC測定で適当にサンプル測定しそれらしい結果が得られたけど、これって正しいの?正しい分子量を評価するためにサンプル濃度はどの程度にすれば良いの?という人のために、GPC測定での溶媒種の選び方、適正なサンプル濃度についてご説明します!

GPC測定での適正なサンプル濃度

基本的にGPC測定の目的は、高分子1本の分子量を測定することです。そのため高分子が1本1本ばらばらな状態のサンプルを準備する必要があります。また、サンプル濃度が高いほどGPC測定での検出ピークが大きくなり誤差少なく解析することができるため、高分子がばらばらな状態を保つことが出来る範囲で高濃度にすることが好ましいです。

しかし、サンプル濃度が高すぎると高分子がばらばらな状態を保つことが出来なくなり、複数の高分子が集まりあたかも1本の高分子の様に振る舞った状態でカラム中を移動するため、実際よりも高い分子量が結果として得られてしまいます。また、溶媒種によっては十分に低濃度であっても高分子同士が会合状態を維持してしまい、同様に実際よりも高い分子量が結果として得られてしまいます。

一般に、サンプル濃度が臨界濃度c*未満では高分子は1本1本ばらばらな状態を保ち(希薄溶液)、サンプル濃度が臨界濃度c*以上では鎖同士が干渉し始めるためGPC測定にて正確な分子量の評価結果が得られなくなります(濃厚溶液)。そのため、未知な高分子をGPC測定する場合は、2~3種類異なる濃度のサンプルを準備し測定することをおすすめします(理論的に臨界濃度c*を算出することも出来ますが、一般的にサンプル濃度0.10w%以下とすることをおすすめします)。

希薄溶液と濃厚溶液での高分子の状態

いずれのサンプル濃度でも同様な評価結果が得られる場合は正しい分子量を示していると判断できます。濃度によって評価結果が異なる場合は正しい分子量が評価できていないと考えられるため、濃度を下げたサンプルを2~3種類作成し再度GPC測定して下さい。

また、溶媒種によって会合状態を形成する可能性がある高分子の場合は、あらかじめ文献等で会合状態を形成しない溶媒を調査しその溶媒にてGPC測定する、もしくはいくつか異なる種類の溶媒でGPC測定することをおすすめします。

まとめ

  • 会合状態を形成しない溶媒を選択する。
  • 2~3種類異なる濃度のサンプルを準備しGPC測定する(一般的にサンプル濃度0.10w%以下がおすすめ)。
  • サンプル濃度によって評価結果が異なる場合は、濃度を下げたサンプルを2~3種類作成し再度GPC測定する。

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